Making&Reform・・・住宅を造る・改造する
設計の進め方・工事の流れを、ケーススタディで実例を交えながら解説しています。
木造・鉄骨・鉄筋コンクリート。そして、新築・増築・改造等。
時代の移り変わりに応じて、住宅に対する性能等要求は、刻々と変化しています。
この記録はその一過的なものとしてとらえて下さい。
工事の発注方法と形態・・・設計もその形態によって進める順番が若干変わってきます。
設計は無事終了しました。さてさて、工事は何処にお願いしようか?
親戚に大工さんが居るけど。。。
いつもお世話になっている電気屋さんにお願いしないと。。。
自分でペンキを塗りたいけど。。。可能だろうか?
などなど、人と場合によって、いろんなケースが有ると思われます。
アヴニール設計はいろんな形態を想定して、設計だけでなく、工事施工のお手伝いも実践しています。
勿論、どのスタイルを選ぶかは、お施主さん次第です。
まずは、各発注形態から下記に簡単に説明します。
新築・リフォームは問いません。総体予算でどの形態を選定するのか、検討しても良いでしょう。
1.施工業者・・・工務店/ゼネコン/ハウスビルダーとの工事請負契約(一般的にはこのスタイルです。)
1-a:施工業者入札方式

入札方式とは、工事規模に応じた、適当な施工業者を数社選定し、設計図書を基に、よ〜いドンで、見積金額を提出して頂き、想定予算の範囲で、一番安い金額を提示して頂いた施工業者に決定することです。
公共工事はほとんど、この方式です。
1-b:施工業者相見積方式
工事規模に応じた、適当な施工業者を数社選定し、設計図書を基に、見積書を提出して頂きます。その見積書を当社で組んだ設計見積書と照らし合わせ、細かなチェックを行います。その後、施工業者と1社ずつ突き合わせ、ネゴシエイションを行い、その結果を施主に報告します。見積書は施工業者の顔です。ちょっと見ただけで、その施工業者の体質、物件に対する取組が表れています。ネゴによって、業者の見積書の高値・安値が逆転する場合もあります。どの施工業者にお願いするのかを、最終的に決定するのは、施主自信になります
通常の設計管理委託の場合、この形態が一番多いですね。
1-c:施工業者特命方式

施主の何らかの絡みがある施工業者。又は、工事規模に応じた、適当な施工業者の中から1社を選定し、見積書を提出して頂きます。見積方式と同様の作業を行い、最終金額を調整します。施工金額が決まっている物件を依頼する場合や、他の施工業者に依頼することが厳しい場合に適します。ケーススタディ1
当社では、金額的に、万が一工事の受け手がない場合でも、自社で工事できるように、との想定で、当社独自の根拠を持った設計見積書を算出しています。(根拠がなければ、施工業者さんもネゴの際、納得した金額を算出来ません。)開設してから今の所、中にはかなり厳しい現場もありましたが、それなりに施主の要望の範囲に収まっています。この場合、一部、分離発注も可能ですが、施工精度等の責任と、工事工程の調整に関わってきますので、施工業者さんとしては基本的に嫌がります。
2.設計事務所による設計・施工。(設計事務所との工事請負契約)
新築の場合は基本的に当社では請けていませんが、リフォーム・外構工事・店舗店装等の場合で、しっかりした企画力・デザイン力・そして硝子張りの見積書を要求する場合、当社の設計・施工で、工事請負をします。その場合、設計共で、見積金額(実質工事費)の15%〜20%程度の経費をお願いしています。ケーススタディ2
設計が必要な物件で、増改築・店舗等改装工事の場合、100万・200万の工事で、設計料だけ10%くださいとはなかなか言えない。だから工事までさせて頂くと言うのが本音です。
3.施主直営による分離発注方式。(工事の請負契約は発生しない。)
簡単に言えば、元請け業者抜きの工事です。とは言っても、工事経験のない施主にとっては、大変な労力と、返って費用が余分にかかる原因となりかねません。各専門工事業者(建築工事では最低20数業者に及びます。)の見積自体、それが高いのか、安いのか、分からないことでしょうし。
そこで、当社が、設計・監理の依託契約とは別に、施主に替わり、工事現場管理業務(現場代理人)の委託業務を受け、業務補助を行います。その場合、見積金額(実質工事費)の約7%〜10%(工期・規模・内容によって変わってきます。)程度の経費をお願いしています。このような形態を、欧米では、CM(コンストラクション・マネージメント)と言うようです。ものの本質を見極めた場合、だんだんこのようなシステムが増えてくるのは間違いないことでしょう。
詳しくは、ケーススタディ3参照。
4.施主直営による分離発注方式+一部、設計事務所一括発注。(基本的は3で、2が加わる。)
組み合わせ方は、色々あります。勿論、分離発注+施工業者でもOKでしょう。材料を支給(木材・新建材・住宅設備等)したり、駆体工事だけ工務店に依頼するケースもあります。水道工事・電気工事等、いわゆる設備工事だけを分離発注し、その他建築工事を一括請け負うケースも珍しくありません。
全体予算と建築工事の煩雑さを考慮すれば、賢い選択(手段)の一つかも知れませんが、工事の流れと範囲を、事前にはっきりと把握しておく必要があります。ケーススタディ4
建築工事に関わった事がある人又は関わっている人で、全て自分でするのが煩わしい人。
又は、建築工事の流れがわかっている人で、近くで携われない人に向いています。材料・設備工事は分離発注で、その他を一括して下請け工事(手間受け工事)に回すというパターンは、多くのハウスメーカー等が、普通にやっている事です。
ケーススタディ1・・・住宅を造る(新築・建設業者選定・請負工事)
木造住宅の新築
中島の家 西暦2000年。
 兄の家(木造住宅)を通して、当社の企画から設計の流れと(今では当たり前になっている)健康住宅・省エネ住宅への取り組み。そして、工事着工から工事竣工までの設計監理の様子をビジュアルに解説しています。
 完成してからでは見ることができない、隠れた部分の工事中の色々な仕掛け(こだわり)を見ることができます。
1.企画設計編
2.設計・監理編

3.竣工編
RC造集合住宅の新築
中島の家 西暦2008年。
 当初は設計をさせて頂くかどうか、はっきり決まっていませんでしたが、企画・設計・収支計画等、賃貸事業に関するコストパフォーマンスは、競合他社に負ける気はしませんでした。最近の賃貸アパートの積水ハウス・ダイワハウス等、仕様的にはグレード高く、品質も良くなっていますね。だけど、高い。これだけの予算があれば、鉄筋コンクリートでも十分対応出来るし、収支計画もそれ以上にメリットがあるのになー。と言う印象でした。当社設計物件で、熊本県で2件目の住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)付き住宅となります。
田崎の家アルバムにリンクします。
ケーススタディ2・・・設計事務所による設計・施工(当社設計・施工)    
びふぉー&あふたー(リフォーム)
鉄筋コンクリート造改造

関の家 西暦2004年 
 人が住みながらの改装工事で、TVの劇的ビッフォーアフターさながらの奮闘・物語がありました。そして、ついに、仕出し屋さんから、叔母、二人の従姉妹の3世帯専用住宅に大変身しました。
1.企画・外観編
2.1階内観編(1期工事)
3.2〜3階内観編(2期工事)
木造住宅の新築
由布見の丘の家 西暦2008年
 2007年の春に話を頂き、竣工までほぼ1年。友人の家です。建設予定の土地の交渉・打診、銀行の世話・融資の手続きから、予算面も含め、全てお任せのコースです。当初、CMで行おうかとかなり迷ったのですが、今後施工される瑕疵担保保証責任保険の関係もあり、こだわりのプラン・仕様も保ちつつ、施工費も34坪1,500万以下に抑え,、当社設計・施工で新築するようになりました。信頼はしているけど、何かあった時、伊藤さんの方に迷惑かけたくないからと、ぎりぎりの予算の中から、JIO(日本住宅保証検査機構)の地盤保証・瑕疵担保保証に加入してくれました。まだ、、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」施行前で、任意加入、2007年の事です。友人の家、親戚の家、何事もなく、苦労して良くしてあげて当たり前の世界です。「伊藤さんにお願いして本当に良かった。」と言う言葉は、正直、涙ものです。
由布見の丘の家アルバムにリンクします。
ケーススタディ3・・・建築家と造るCM方式(新築・建築主直営工事・分離発注)    

木造診療所併用住宅の新築
挾間の家 西暦2005年。
 予算の検討・建設予定土地の検討、実施設計にかかるまで2転3転有りました。.最終的に、今回は、あらゆる観点から充分協議の上、CM方式・・・元請けを省いた、施主の直営工事(分離発注形式)を提案し、採用して頂きました。施主も初めて聞くその方式に、ためらいも有ったようですが、その概要と、メリット、ディメリットを丁寧に説明することによって、納得し、不安も解消して頂きました。工事にも、白蟻防除の木炭塗料塗り、お掃除等、できることから、積極的に参加して頂くようお願いしました。
建築主直営工事・・・施主が各専門業者に直接注文する、分離発注方式のことです。
※各専門業者・・・大工さん・左官屋さん・ペンキ屋さん・板金屋さん・電気屋さん等々、建築工事では商品の仕入れまで考えると、最低20数業種に及びます。
当社で設計・監理契約とは別に、施主から工事現場管理業務(現場代理人)の依託注文を受け、建築主に替わって工事全般の業務補助とを行ってます。
※建築工事の現場管理業務は、主に下記の内容を言います。
1.工事の程度・品質管理
2.工事の期日・工程管理
3.工事の方法・コスト管理
4.工事の安全・衛生管理
木造診療所(整骨院)併用住宅の新築
賀来の家 西暦2009年。
 今回、この建物も完全CM(分離発注)方式の工事となりました。厳しい予算(と言っても、最近どこも厳しいのですが(^_^;))の中、如何にして施主の期待に添えるよう、シンボリックな建物にするか?多少横長の敷地条件(駐車場の取り方・2階住居部分の採光の入り方)を検討して、真っ先に思い浮かんだのが、メイン建物は総2階にして、1階診療所のエントランスポーチの上に建物をのせて浮かべる事です。北側道路から2階住宅部分への視線をさえぎり、1階診療所部分を視覚的に目立たせる。そういうコンセプトで本建物は形成されています。以前のお施主さんの紹介で、自分の診療所を新築する時は、アヴニールさんに決めていた。と言う言葉はとても有り難い事です。
本物件はアヴニールの家造りBLOGにて公開しています。
国土交通省策定の「CM(コンストラクション・マネジメント)方式活用ガイドライン」には、下記のように、設計段階からのCM方式のガイドラインを公表しています。
 CM方式とは、「建設生産・管理システム」の一つであり、発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中位性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。
 我が国では、従来は、一括発注方式が多用されており、施工に関するマネジメント業務は主に元請業者(総合工事業者)が担ってきた。

 我が国において、CM方式の導入が進めば、発注者にとって建設生産・管理システムの選択肢が多くなる。CM方式は一括発注方式と比べると、発注者が抱えるリスクは大きくなるものの、コスト構成などの透明化が進むといわれている。CM方式と一括発注方式は、それぞれ発注者にとってメリットがあり、今後、我が国においても、うまく共存が図られると考えられる。

とあります。詳しくは下記URL参照して下さい。

http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/const/sinko/kikaku/cm/cmhead.htm
施主の直営工事(分離発注)による工事
●メリット▲ディメリット〜CM方式(最近の傾向)

▲書類・発注振り込み等、雑務が増える。
▲アフター(10年間の瑕疵担保責任も含め)万が一の責任追求の判断が難しい。(専門業者間の工事の絡みを整理)
●施主自ら工事に参加し、専門業者とのやりとりが出来る。
●施工業者の請負経費が浮く。
●工事金額がオープンで、工事金額の内容も把握出来る。工事内容の変更も、タイムリーで金額の確認も取りやすい
●知り合いの専門業者に頼みやすい。

※専門業者とのやりとりや、アフターサービス・工事変更等は、当社でフォローしていきます。当社も品格法の講習は受けていますので、万が一の時の原因が減るよう、設計時に反映し、工事指導しています。
建設業者との請負契約による工事
●メリット▲ディメリット〜通常・従来の方式

●窓口が一つで色々と煩わしく無い。
●アフター(10年間の瑕疵担保責任も含め)万が一のの責任追求が容易。
●組織力で、工事全体をカバー出来る。
▲工事金額が解りづらい為、設計変更等の金額が見えにくい。
▲知り合いの専門業者が入りづらい。

※変更時の金額は、間に当社が入るので、明確に出来ます。尚、アフターサービスに関しては、現状では、施主からの連絡はほとんどこちらの方で連絡受け対処しています。尚、建設業者の選定は、当たり前に仕事が出来ることを前提にしています。工事・設計内容に見合った施工業者レベルじゃないと、監理・アフターで苦労します。
ケーススタディ4・・・新築(CM分離発注方式+一部、工務店又は当社施行)    
木造住宅の新築
佐賀関白木の家 西暦2006年。
 最初にメール頂いたのが2005年6月。関西在住のお施主様です。道路を隔てて海岸と言う過酷ではあるけれど景色の良い環境に立地と言うこともあり、塩害対策(耐久性)及び台風対策(仕様・構造強度)そして、ロケーションの確保には特に、考慮しています。発注形態は、最終的に、施主の意向で、設備・住設・外構は分離発注とし、その他は当社にて施工・管理すると言う形態になりました。
1.駆体編
2.仕上編
3.竣工編
 本工事は、遠方におられるお施主様でも、タイムリーに工事の進捗状況を、確認・把握して頂けるよう、ブログで公開していました。その状況をまとめたものです。
佐賀関白木の家アルバムにリンクします。
RC/木造3階建て 混構造住宅の新築(俗に言う下駄履きの家)
生石港町の家の家 西暦2007年。
 1階RC(鉄筋コンクリート造)2〜3階木造の混構造です。準防火地域に建つ為、木造での3階建ては規制が多いので、今回は準耐火仕様(木造部分も2階建ての場合の壁量計算だけではなく、非木造同様の構造計算が必要)での設計を試みました。東京等都市部では当たり前にやっている事ですが、大分県ではまだあまり馴染みが無い設計手法です。
 発注形態は、最終的に、
建築本体工事は基本的に工務店とし、既設解体及び電気・水道・空調等設備工事は分離発注と言う事までは良くある話ですが、木材・プレカット及び住宅設備は施主の知人経由、既製品の木製ドア・造作材料関連は当社発注と言うちょっと複雑な形態になりました。しかも、予算調整の為、大工・左官屋等の紹介・組み込みもあり、工務店の方も慣れない形態で、仮設・共通仮設は本体工事と切り離せない事情等もあり、(よく分かります。)結構やりづらさは有ったようですが、最後まで上手に付き合って頂きました。感謝しています。
生石港町の家アルバムにリンクします。