住宅を造る
地方設計事務所による住宅造りの流れと、我々の姿勢・役割そして考え意図する事。
〜中島の家(兄の家)〜の設計・監理を通じて。
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5.アフターケア及びメンテナンス
  登記も終わった。工事も終わった。引っ越しも終わった。工事費の支払いも終わった。
これからが本当の意味で、工事施工業者と我々設計事務所との長いお付き合いの始まりである。
設備・機器の使用方法は、正しく理解できただろうか?
フローリング・クロス等の日常のメンテナンス手入れ方法は、理解できただろうか?
  実際、使用してからじゃないと解らない疑問点や、気づかなかった工事の手直し事項もあると思う。友人として、家に関することは些細なことでも遠慮せずに何でも話していただきたい。できる限りの支援と対応はしていくつもりである。
  2000年4月に施工された「住宅の品質確保の促進に関する法律」では、「瑕疵担保期間の10年義務化」が制定され、新築住宅の基本構造部に瑕疵(欠陥)が発見された場合、施工業者はその瑕疵を無料で補修する等の責任がある事を明確に義務付けられた。また、「住宅性能表示制度」が2000年10月1日から施行され、任意ではあるが、住宅の品質の評価を第3機関にゆだねて評価書を交付してもらい、施工がこの住宅性能表示と異なる場合、施工者は無料で補修する義務を負う等、紛争処理体制が整備されている。(制度加入は有料である。)この「品確法」の出現で、我々設計事務所は、設計だけでは責任が持てなくなり、ますます設計から監そして初めて、施工業者と設計事務所の2段構えで、アフターケア及びメンテナンスが行えるものと考えている。
6.竣工…完成写真を交えて
  ここでは、完成の記録として、各部分にコメントを添えて解説したいと思う。
T.外 観
a.外観のシミュレーションと比べて頂きたい。イメージにかなり近い事が確認できる。建物全体の形状は、母屋をかなり意識している。 2階の外部用ジュラク仕上げは、同メーカー・同色のものを使用している。中央の玄関から水平に淡いオレンジ色を配し地に着いた安定感を表現し、垂直に空に広がる開放感をイメージしている。

b.イタリア風を意識した玄関アプローチ材料の選定は、奥様の意向を最も重視の上決定。

c.裏から見たら平屋建ての大屋根の家で、以前より抜群に陽当りも良く、圧迫感も無くなった。母屋の玄関から路地を伝い、家庭菜園スペースを抜け奥の駐輪場へと続く。予定通り、北側の母屋は、解放され、この中庭を通じ合体された。安全手摺と蹴上げ15cmの緩やかな階段を設置して、母屋との往
来も楽にした。
a.玄関から玄関ホール。外のアプローチから続く床のテラコッタ調タイルの仕上げが広い玄関空間をより広い空間に導いている。階段の色、扉の色は、最後の最後まで何度も検討した。どこで靴を履き替えればと、一瞬惑うのだが、マットを敷く事で対処。一応、外部用・内部用とタイルの種類は違えている。
この家の◎へそ◎である広い玄関ホールを中心に、各部屋に導かれる様、計画している。土間の下には約2.5トンの備長炭が敷き詰められており、床下を通じて、各床下に、通じる様、考えている。備長炭の効能は最近、言わずと知れているが、今回何よりも、埋炭同様、磁場の安定を主体にしている。
壁の仕上はインテリアセラミック(エコカラット)を採用して、備長炭同様保水・脱臭・遠赤効果等をねらっている。
下足入れの扉は、竣工1ヶ月前に購入した、リビングのイタリア製テーブルに合わせ、メープルの取っ手が目立たない、シンプルなデザインとしている。

b.母屋との往来そして子供達の専用出入り口としての、勝手口。子供専用の下足入れも設置して、サッカーで泥んこのまま風呂に直行できるよう考えている。

c.書斎は天然木、檜の床と杉の壁・天井の採用で、独自の呼吸効果による煙草の臭いもシャットアウト。木の香りがとても良い。

d.玄関ホールの裏側に、廊下を設けることにより、プライベートの往来を考えている。天井を設けず、ホールの吹抜
と一体化することで、採光と通風が得られ、居室に面する建具寸法を高めのh=2300にすることにより横のつながりも深まり開放・連続感を高めている。

e.北側にある寝室は天窓(自動開閉装置付)により採光、通風を確保。リゾートホテルの様な室内空間と、ちょっぴり遊び心を演出。左側は、婚礼家具が一式はいるウォーキングクローゼット。出入り口は、スタイル鏡を兼ねた広いハンガー扉を採用。
U.内 観 〜1F〜
f.居間・食堂・台所(LDK)から茶の間のつながり。茶の間は客室としても使用の為、玄関から直接アプローチできるよう工夫している。LDKとの間は3枚の引込戸で未使用時は開放されている。2階の床をささえている杉の磨き丸太φ180は奥様の名前にちなんで、若柱と名付けた。中央に、神棚として造り付けた棚は、竣工後飾り棚に変更された。 神棚は急遽、茶の間のコーナーに設置された。

g.LDKと2階をつなぐ吹抜。ここの天窓(自動開閉装置付)で、奥に広い部屋全体の採光と通風が確保されている。エアサーキュレーターで空調された空気の上昇を遮断。


h.茶の間から母屋を見る。以前は家が背中向きだったが、掃出し窓と濡れ縁を設ける事で連続した空間に生まれ変わった。垣根となる花壇には四季の花と野菜が植えられる。


i.浴室は、在来工法で、檜と石(御影石&天草石)を採用。檜の香りがとても良い。天然温泉気分である。ユニットバスとさほど変わらない金額で出来上がる。ここでは、マルチジェット採用でゆったりしたバスタイムが楽しめる。エコオート機能付き電気温水器で、浴槽の水栓が無くなり、すっきりとしたレイアウトになっている。

j.脱衣・洗濯室にも、玄関ホール同様、腰から上にインテリアセラミックス(エコカラット)を採用。造付けの整理棚とオープンの洗剤棚を設置。


k.メーカーに気に入った組み合わせが無かった為、オーダーメイドの洗面ユニット&ドレッサー。w=1800の一枚ガラス鏡がスペースをより広く見せている。


l.タンクを隠す化粧ユニットの採用でよりシンプルなトイレが完成。加えて、便座もスライドするので掃除が容易。勿論汚れ防止タイプの脱臭・暖房等フル機能付きシャワートイレである。
V.内 観 〜2F〜
a.2階へのアプローチと玄関ホール吹抜から裏側プライベート廊下へのつながり。明るく広い空間を演出している。ちなみに、ハイサイドのガラスブロックは、建材では本工事唯一本物のイタリア製で、居間からの照明で夜間の共有部分への、行燈効果を狙っている。

b.1階LDK吹抜上部と2階子供室前廊下。この廊下から北側は屋根裏部分にあたる為、天井は屋根勾配にあわせている。
天井高が1400以下の所は倉庫として使用。16帖近くの広いスペースが確保されている。
廊下突き当たりにはロスナイ(空調換気扇)を設置し、24時間換気を監視させている。
床下にはゴム系の遮音材4_を敷き詰める配慮を施している。

c.子供室の仕上げは、OSB(構造用合板)あらわしの上クリヤー仕上げとし、構造耐力を高めると共に、その独特な木片チップの表情で子供の創造性を高める効果をねらった。
健康クロス仕上げより若干割高だが、健康にも気遣ったリサイクルの天然資材である。何よりも画鋲がさせる事が良い。

d.左長男の部屋右上三男の部屋次男の部屋は三男の部屋のつづきに有り、中央に簡易壁式のクローゼットを配し将来容易に撤去できるようにしてある。

e.次男の部屋から2階バルコニーを望む。

f.子供室クローゼット&2階トイレは、プライベートの遊びの空間として楽しめる。好きな色・好きな柄で思いきって派手に遊んでみた。
♪大都会と花柄(蛍光クロス)♪
♪スーパーマリオ風のブロック柄♪
最終決定は勿論子供達、自ら選択。
7.最後に
家を建て直す必要性が生じたとは言え、かつてない大金を投資するに当たって、弟である私を全面的に信頼してもらい、このような機会を与えてくれた、兄夫婦に感謝したい。
そして、『兄の家』と言うふれ込みで、支援・協力して頂いた、関係メーカー、商社、各施工店の皆様に謹んで御礼申し上げたい。
                                     (有)アヴニール設計    伊藤 禎
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