びふぉー&あふたー
朝日TV劇的ビフォーアフターさながらの大改造。
〜関の家〜の設計・監理及び改造・改装は当社直営工事で行いました。
page1(企画・外観)
1.始めに
それは2003年の盆明けの事でした。まさかこんなに大改造になるとは思っていませんでした。
娘が持つ、母屋から道路向かいの自宅(築20年)を改造しようか?母屋につながる隣の古屋(築?年)を改造しようか?悩んでいました。
母屋の大改造、そして娘2人が母屋に集い、3世帯の生活が始まるとは、その時は正直言ってあまり考えていなかったようです。
2.母屋の改装・改造
最終的にはどういう風な生活スタイルを求めたいのか?お母さんの介護が必要になったとき、娘2人でどのように対応していくのか?お母さんを含め3人おのおのに、さまざまな考えと意見を求めました。そして、将来を見据えたいろいろな方法を提案していくうち、3世帯でそれぞれお金を出し合って、現在お母さん一人で住んでいる広い母屋を改造して、集結するのが一番良いのではないか、という結論を迎えました。
娘の道路向かいの自宅は、解体し、自宅用専用駐車場になりました。
母屋につながる隣の古屋は、母屋の荷物整理と、衣装納戸になりました。
3.設計プローセス・コンセプト・工事
まず、改造前の様子を概略述べましょう。
母屋の1階南側は、以前仕出し屋さんをしていたこともあり、海側の良い所に広いスペースが厨房(台所)として残っていました。20年ほど前、北道路側に有った木造古屋を改築して母屋とつなげて、一体化していましたので、階段も2ヶ所有り、正直言って間取りを把握するまで、迷路の様な印象でした。
さて、これをどのように改造していこうか。。。
基本的な設計コンセプトは下記の通りです。
★3世帯それぞれ生活時間帯も異なるため、独立性が保てる構造・間取りとすること。
★健康で明るい雰囲気をかもし出す材料・構造・間取りとすること。
★1階居間(茶の間)2〜3階子供室は、太陽と緑を感じられる南側に配置すること。
★1階は特に、風呂・便所は寝室から近く、介護も充分考えたバリアフリーな構造・間取りとすること。
★熱効率も良く、風の通りも良く、省エネで安定した過ごしやすい住居。
★防犯対策・台風対策を考慮した構造とすること。
★外観はオリジナルで明るく温かい雰囲気とすること。
改造設計に伴う作業・工事とは別に、
具体的な作業内容は下記の通りです。
★1階客室・客間(二間続きの座敷)は、あたらない。(ふすま・畳替え程度)
★2階台所・続きの座敷(茶の間)は、あたらない。(ふすま・畳替え程度)

★居住(中に住んだまま)と平行して工事を行う。
★中の荷物の移動と整理(お手伝い)を、工事の中で段取りよく行う。
★本体構造のコンクリート劣化・クラックの補修及び、雨漏り補修。
★既設を含めたオール電化
などなど。
8月21日に有る程度方向性が見えたので、既設の現場調査(図面がない為既設の図面作成)、9月23日に上記作業内容を念頭に置き、基本設計を提出しました。つづけて度重なる打合せの末、10月一杯の短期間に実施設計(基本図とイメージスケッチのみで、頭の中で思い描いている詳細図を描く時間はありませんでしたが、)及び設計見積を提示致しました。
『12月25日くらいで引っ越しまで済ませたいけど。できんかなぁ?』(魚を扱っている商売は年末・年始は一番忙しいのです。)と言う要望の中、建設業者に合い見積もりして頂いて、予算金額調整の上決定するまでを考えたら、図面も不足しているし、あと1ヶ月かかるなぁ☆どうしよう☆と思っていました。
『あんたん所で工事するんやねんかえ?』勿論やってます。安く済ませる方法・自信も有ります。ただ、平行して作業している他の設計業務に支障来さないかと☆ちょっと☆考えました。しかし、身内の家だし、予算と工期を考えたら、設計しながら工事を進めないと、現時点で内容が分かってるのは私だけだから☆☆☆と決意し、直営工事に至る結果となりました。
工事において、この年の年末はたまたま、大工さん・軽天工事屋さんが不足し、なかなか捕まらないと言う現状もあり、1期工事として2〜3階工事を12月25日までに済ませ、年明け10日から2期工事で1階工事及び外部最終仕上げ工事という風に分けてもらいました。
改造部分の工事は、既設のコンクリート駆体部分だけ残し、仕上げは全て撤去しました。(スケルトン状態と言います。)
写真は、2階工事中の天井(断熱材敷き込み状況)と床(フリーフロア設置状況)の様子です。
と言うことで、2003年から工事完了まで、古川君と共に代わりばんこ、昼は毎日佐賀関の現場、帰って夜遅くまで本工事の段取り・発注まとめと、他の物件の設計と言う日が続きました。(うれしくありがたい悲鳴の毎日でした?)
4.まとめ
直営で工事をやらせて頂いて良かった。と言うのが正直な気持ちです。
今までも住宅・店舗等改装する機会は数多くありました。その度いつも思う事があります。それは、なんと言っても、職人さんと直接会話を交わし、一緒になって『ここはこうしたほうがいい。ああしたほうがいい。』と言う前向きな意見を聞きながら、ものを造り上げる喜びが有ると言う事です。そして、今回の工事も付録?的なちょこまかしたことが多くありました。(改装工事には付きまとうことですけど。)図面にもないちょっとしたこと・変更もその場で快く引き受けてくれ、直接工程・予算の調整・管理ができることです。
改装の場合、既設の状況が床・壁・天井を剥いでみないと分からないと言うのが現状です。まして図面も残っていないので予想がつきません。事実、床・壁の下地が雨漏りで腐っているところも有りました。駆体の仕上がり精度が悪く、収まりがつかなくて、現場調整するところも有りました。その場で判断し、指示しなくては、工程に狂いも出てきます。妥協はしたくない。技術屋が持つ宿命的なものでしょう。一緒になって汗を流して自ずから職人になって仕事をやっていれば、同じ職人同士、言葉はいらないことも有ります。金銭を優先すればできてなかったことも多々有ることだと思います。

改造の場合は新築と違って、よっぽどの事前下調べがない限り、難しい部分が有ります。結果、費用もあとから余分にかかる場合だって有ります。そういうことがない様、いくら改装工事と言っても、しっかりした現場調査と設計図面を検討の上で、工事見積もりし、予算をつかむことが大事です。ありきたりの改装では満足行かない場合等は、是非設計事務所を訪ねてみて下さい。きちっとしたコンセプトの上、シミュレーションします。あなたの家にも劇的大改造が待っているかもしれません。
5.以下工事内容を写真と解説で紹介致します。
写真撮影方向
改造前(Before) 改造後(After)
南側(海側)外観
前○BSあ
後○ASあ
エーゲ海・ギリシャに浮かぶ島々。ミコノス島の白い街をイメージした外観を白いタイルと石でイメージした。ピンクの看板は撤去したかったけど、もう暫く待ちΩ
南側(海側)外観
前○BSい
後○ASい
今回外部を改装したのは、この中央の棟で、左右は既設の倉庫がそのまま残っている。築30数年経ち、潮風を受けコンクリートも多少劣化していた。

海側階段◎1
ミコノスの石畳のイメージ
南側(海側)外観
前○BSう
後○ASう
樋・手摺り・オーニングもエーゲ海ブルーに統一して、窓には強風を考慮して窓シャッター又は面格子を設置している。外国船停泊の際の、防犯性も高めている。
台所増築
前○BSえ
後○ASえ
台所のスペースが取れず、西側にやむなく鉄骨造10u未満の増築。外壁はラムダサイディング、屋根はカラーステンレス竪ハゼ葺きとしている。
改造前・・厨房アプローチ・前○BSお
改造後・・ウッドデッキ・・・後○ASお
居間に面する全面道路からの視線を遮る目的でウッドデッキを設置。そのうち色とりどりのプランターで覆い尽くされることを期待したい。
倉庫屋根階段
前○BSか
後○ASか
海側道路は玄関の反対側だが、内輪の人々の生活通路はこちらがメイン。居間からウッドデッキを抜けて勝手口に行き易い様バリアフリーな階段を設置。
北側(山側)外観
前○BSき
後○ASき
せっかく海側が綺麗になったからと、玄関廻りも整備。玄関ドアは予算で割愛(そのうち)、こちらは海側とうって変わってミコノスタウンの明るい路地をイメージした。
北側(山側)外観
前○BSく
後○ASく
事務室兼寝室の外側、外壁の素焼き風タイルのランダム貼りに、『ホルスタイン風』と言われてしまった。
お姉さんの自意識過剰?
面格子の製作は(株)伸栄金属製作所に協力頂きました。 http://www.sinei-k.co.jp/
外部のこだわり装飾
玄関表札
◎2
メルヘンチックな外装に、ガラスと鏡を合わせて、サンドブラスト仕上げの製作品とした。顔が写る。
事務室面格子
◎3
道路に面している為、特にデザインにこだわり、耐候性・強度を考えアルミ製焼付け塗装の製作品とした。
玄関外部タイル
◎4
左官屋さんに、白セメントでさりげなく鏝絵をと要求したところ、花タイルに、茎と葉脈を入れられた。(^_^;)
台所外部タイル
◎5
半端物の余ったタイルを事務所から持ってきて台所外部幅木に、アクセントデザインした。
屋外階段タイル
◎6
波の下で魚が泳いでるイメージ。(中央の小さなタイルは、INAXのお魚タイル)
トップ アイコン先頭に戻る next
page2
トップ アイコンmakingへ