上棟(むねあげ)又は建前(たてまえ)の儀式の事を言います。昭和30〜40年代まで、クレーンを使わず、近所の大人数集まって、棟木等木材をロープで引き上げていたのを覚えています。今では当たり前ですが、トラッククレーンやラフターと言う移動式クレーンで柱・梁・桁等、木材を吊り上げて、大工さんが軸組を組み上げていきます。この一連とした作業を夕方、4時から5時(作業状況・季節によって若干変わってきますが)頃の時間まで行い、棟木(最頂部の屋根・棟瓦を支える木部材)が無事上がったのをお祝いするのとともに、棟梁が中心となって建物のお清めと、この家に住むご家族の繁栄、そして、工事の安全を神様に祈願します。 |
上棟式は「儀式」というよりも施主が職人さんをもてなす「お祝い」と意味合いの方が強いです。工事に関わった人が一同に会し、お互いの協力の元に家をつくり上げていこうとする意思表示の会でもあります。 |
● 事前準備と確認事項 |
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まず、日時を決定します。 |
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大安吉日を選ぶ場合が多いですが、仕事の都合上、それ以外の日を選んでも、差し障り有りません。 |
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上棟はその規模及び前段取りで、1日で終わる場合もあるし、2日かかる場合もあります。その場合、最終日を上棟式に定めます。 |
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目安としては、地鎮祭から1ヵ月後くらいになるでしょう。 |
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どこまでするか? |
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近年、ハウスメーカー等では、費用の負担を減らすためか?施主の煩わしさを軽減するためか?上棟式は行わない場合もよく見かけます。その場合、問題はありませんが、手順・段取りも変わってくる場合があるため、事前に大工さんに伝えておきます。 |
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上棟式はしたいけど、餅まきはやめておこう。とか、大工さんに対して最低限の事だけはもてなしたい。と言う施主もいます。その内容によって、日時、準備するものも、変わってきます。 |
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参加人数を確認します |
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まかない、祝儀等、準備に必要な人数を1週間ほど前までには設計事務所又は工務店に訪ね、確認してください。 |
● 準備するもの |
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下記、ところ、その日の都合によって内容が変わります。事前に打ち合わせが必要です。 |
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施主が準備するのは、通常、お供え、餅まきセット、まかない及びお祝儀と、結構大変です。 |
上棟式セット |
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のさセット |
小屋裏の神様です。大工棟梁が、別に準備したスルメ・昆布と一緒に2枚の板で挟み作成します。 |
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のさ・・・大工が小屋束の寸法を切り違えて、「のさ」と言う名の女性が、代わりに棟(屋根)を支えた?と言う、大工には非常に不名誉な言い伝えがありますが、本当でしょうか? |
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のさセットは、DYIセンター等で、取り扱っています。 |
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スルメ・昆布 |
のさセットと一緒に取り付けます。 |
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お守り |
地鎮祭の時に、神官から頂いたお守りが有れば、のさセットと一緒に取り付けます。 |
お供え |
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塩・米・いりこ |
各1合程度 お供え用でそれぞれ紙皿に乗せます。 |
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御神酒 |
1升 |
奉献 通常、アヴニール設計でお祝いも兼ねて準備いたします。 |
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水 |
0.5L |
ペットボトルに入れて準備しておきます。 |
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紙皿・紙コップ・割箸 |
お供え用と、直会(なおらい)用にも使用します。 |
餅まき(ひとぎ) |
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吹き流し |
餅まき(ひとぎ)をする場合、「ひとぎをしますよ(^O^)」という合図です。鯉のぼりの吹き流しです。 |
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竹 |
吹き流しを取り付けて、少しでも高いところに掲げます。足場に直接結びつける場合もあります。 |
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タオル |
関係者の人数分無地のタオルを準備します。施主が赤、工事が青等、色分けしても良いでしょう。 |
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100円ショップにて購入。人数分準備します。 |
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餅 |
1升1合1勺(しゃく)の3倍、3升3合3勺が1セットと言われてます。集まる人数によって違ってきますので、だいたいの個数をお店の人に相談した方がよいでしょう。 |
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供え餅×1 |
鏡餅のような大きさの餅です。一緒にお供えします。 |
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4隅餅×4 |
餅まきに先立って、家の4隅から下に落とす餅で、鏡餅より少し小さめの餅です。多分お店の人がしてくれるでしょうが、お餅はそれぞれビニル袋等でラッピングして準備してください。お餅の色はこだわらなくて良いです。お店で頼んだら、紅白でしてくれる場合が多いようです。 |
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5円玉・50円玉 |
建築主の年(数え)の数と言われてます。 |
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それぞれ適当な枚数、こより又は赤いリボンを穴に通して結んでください。 |
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おかし |
お餅だけでは量的に寂しい場合、適当にお菓子を混ぜたりする場合もあります。 |
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最近では引き替え券を入れて、フラワープレゼントなんて趣向も有るようです(^_^)。 |
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餅まき用の箱 |
餅・小銭・おかしをまとめて入れて、準備しておきます。 |
まかない・直会(なおらい) |
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昼食のまかない |
上棟日は手伝いの大工が大勢来ます。大工・クレーン屋等、現場作業員の分のお弁当を準備します。規模にもよりますが、普通の住宅規模で5人〜10人程度、ほかほか弁当程度のお昼で良いでしょう。 |
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お昼のお茶 |
缶・ペットボトル等、お弁当の数だけ準備します。 |
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直会用オードブル |
1〜2セット |
5千円程度? |
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ジュース・お茶 |
昔はお酒を振る舞って、宵まで宴会が続く事もありました。この数年、ペットボトルが主流ですね。 |
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折り |
持ち帰り用の折りです。1折、3〜4千円程度だと思います。工事関係者人数分準備します。 |
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お酒 |
1〜2合瓶入りの小さいやつを、折とセットに付けます。ビール・ミニワインを付ける場合もあります。 |
お祝儀 |
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お祝儀 |
のし袋に、「お祝儀」と書いて、大工・クレーン等工事関係者の分準備します。祝儀の金額には決まりはありません。契約とは別物ですので、気持ちの問題?と言えば大げさでしょうか?一般的には、関係者一律3千円〜5千円でも良いし、棟梁5千円〜1万円その他3千円〜5千円程度で振り分ける場合もあります。棟梁だけにははずんで、気持ちを込めて、2万円と言う事もあります。 |
● 参加者・服装 |
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参加者 |
施主・設計者・施工者となりますが、施主の近い身内の方(ご両親・ご兄弟・ご姉妹等)都合が合えば、上棟後の片付けもあるし、賑やかで良いと思います。特に餅まきをする場合、参加者が少ないと寂しいので、事前にご近所に声をかけておくと良いでしょう。 |
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服装 |
動きやすい普段着で良いと思われます。 |
● 上棟日の流れ |
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下記、一般的な1日の流れと、上棟式の式次第です。季節によって時間等若干変わってきます。 |
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朝08:00 |
現場監督、大工、クレーンが集まり、各自分担を決め作業が始まります。 |
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足場に番線で竹をくくり、吹き流しを上げます。 |
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昼12:00 |
お昼のお弁当と、お茶のもてなしをします。 |
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昼15:00 |
建築現場では、昼3:00に10分くらいの休憩・雑談が習慣付いています。コミュニケーションタイムですね(^_^)。 |
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夕方16:00 |
棟梁が「のさ」造りに取りかかります。 |
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作業の段取りが付き次第、上棟式準備をします。祭壇をこさえ(スペースを作り)、周囲を片付けます。 |
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「のさ」を中心に、準備してきたお供え、塩・米・いりこを紙皿に乗せ、御神酒、水を紙コップに注ぎます。 |
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上棟式 |
準備ができ次第、棟梁を中心に、関係者祭壇に集まります。 |
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最初に、棟梁のかけ声で、一同、祭壇に向かって2礼2拍手1礼。この場合「東」に向かってと言う大工もいます? |
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棟梁による祝詞奏上(のりとそうじょう) |
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棟梁を中心に、建物の4方柱の所に、にお供えの塩・米・いりこ・御神酒をまき、清めます。 |
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最後に、棟梁のかけ声で、一同、祭壇に向かって2礼2拍手1礼。これで大分方式?の上棟の儀は終了です。 |
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餅まき(ひとぎ) |
「ひとぎ」大分・熊本ではこう呼ぶ事が多いようです。お餅をまく時、「ひとーーぎ」と言いながらまきます。豊肥・国東地区で、棟梁がひとぎを始める前に、ダンス(舞い)らしきパフォーマンスを披露してくれた事もあります。 |
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まず、施主からの代表、4名に、それぞれ建物の角、通し柱の所に立って頂き、東北の角から時計回り順番に、4隅餅を上から落としたものを、こぼさないようにキャッチして貰います。 |
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これで、準備は整いました。ご主人も高所恐怖症でなければ、上まで登って頂き、餅まきの開始です。 |
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「ひとーーぎ」「ひとーーぎ」と言うかけ声が、夕方の空にこだまします(^o^)。 |
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直会(なおらい) |
オードブルを中心に、紙皿・紙コップ・割り箸を人数分並べ、施主が大工さん等、現場作業員をねぎらいます。 |
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まず最初に、施主挨拶をして頂き、直会(なおらい)が始まります。 |
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直会(なおらい)は、現場で行う場合がほとんどですが、天候・状況によっては、場所を改めてする場合もあります。交通事情でお酒を飲む機会も減り、30分〜1時間の雑談後、お開きすることが多くなりました。 |
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直会(なおらい)終了後、大工さん等工事関係者に「お祝儀」を渡します。棟梁に一括して渡す場合もあります。 |
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帰る前に、準備しておいた「折りとお酒」を一緒にして一人一人に感謝を込めて、手渡しします。 |
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餅まきには大工さん等現作業員は拾いに参加しません。1箱とっといて、少しずつ折りと一緒に渡したら喜びますよ。 |
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片付け |
一緒に片付けましょう。 |
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オードブル等、残る場合が多いので、器等、準備しておけば便利です。ゴミ袋も準備しておいた方がいいですね。 |
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その後 |
ケースバイケースで、餅まきをしなかった場合、紅白のお餅を持って、近隣の方に、ご挨拶に行く場合もあります |
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以上、お疲れ様でした。 |